ニコチンベイプは「日本で全面禁止=即違法」というタイプの話ではありませんが、薬機法(医薬品医療機器等法)の扱いが絡むため、 “合法と言える範囲は条件つき”で整理するのが安全です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件の最終判断は、税関・地方厚生局(薬事監視指導課)などの公的窓口に確認してください。

要点(先に結論)
  • ニコチン入りは別物:ニコチン入りのカートリッジ/リキッドは「医薬品」、霧化(気化)させる目的の装置は「医療機器」に該当し得る、という整理が示されています。
  • 個人輸入は“自己使用”が前提:自分で使う目的で、かつ税関が「1か月分」と認める範囲内なら、税関限りの確認で通関できる枠が示されています。
  • 超過や宛先条件は要注意:1か月分を超える、または会社宛て等(自宅以外)などの条件に当たると、輸入確認証が必要になります。
  • 転売・譲渡は不可:個人輸入した医薬品等を他人に売る/譲ることや、他人の分をまとめて輸入することは認められていません。
  • ノンニコは扱いが変わる:ニコチンなし(ノンニコ)は、少なくとも薬機法のこの枠では規制対象外と明記されています(ただし別のルールはあり得ます)。

まず結論:日本で「合法」と言える範囲は“条件つき”

ニコチンベイプは「日本で全面禁止」という意味での違法ではありませんが、薬機法(医薬品医療機器等法)の扱いが絡むため、 ざっくり言うと次の整理になります。

  • ニコチン入りのカートリッジ/リキッド:法律上「医薬品」に該当。
  • それらを霧化(気化)させる目的の装置:法律上「医療機器」に該当し得る。
  • 個人輸入:自分で使う目的で、かつ税関が「1か月分」と認める範囲内なら、税関限りの確認で通関できる枠が示されています。
  • ただし:1か月分を超える・会社宛て等(自宅以外)などの条件に当たると、輸入確認証が必要になります。
  • 禁止される行為:個人輸入した医薬品等を他人に売る/譲る、他人の分をまとめて輸入することは認められていません。

「ニコチンベイプ」の扱いはニコチン有無で大きく変わる

ここが一番誤解されやすいポイントです。輸入・販売・通関の話が別物になります。

  1. ニコチン入り:医薬品(+装置は医療機器の扱い)
    厚生労働省のQ&Aでは、ニコチンを含有する電子たばこ用カートリッジ/リキッドは医薬品、 それらを霧化させる目的の装置は医療機器に該当すると整理されています。
  2. ニコチンなし(ノンニコ):薬機法の規制対象外(少なくともこの枠では)
    同じQ&Aの注記として、ニコチンを含有しないカートリッジ/リキッド、及びそれらを霧化させることを目的とする装置は、 法の規制対象にはならないと明記されています。

注:ノンニコでも、施設ルール・自治体ルール・航空会社ルール等が別途あり得ます。「規制対象外=どこでも自由」とは限りません。


個人輸入はどこまでOK?数量目安(1か月分)の早見表

厚生労働省のQ&Aで示されている「税関限りの確認で通関が可能な数量(1か月分)」の要点を、見やすくまとめます。

区分 税関限りの確認で通関できる目安(個人使用)
ニコチン入りカートリッジ 60個(1か月分)
ニコチン入りリキッド 120mL(1か月分)
本数/吸入回数換算 たばこ1,200本分 または 吸入回数12,000回分(1か月分)
霧化装置(デバイス側) 1個(スペアが必要ならさらに1個)※数え方に注意

※この表の根拠:厚労省Q&A(電子たばこの扱い)に記載の数量基準です。


さらに重要な“数え方”ルール(混在・併記)

数量目安と同じくらい重要なのが、「どう数えるか」のルールです。同じQ&Aでは、次のような判断ルールも示されています。

  • 吸入回数とリキッド容量が併記:本数換算したときに通関数量が少ない方で判断。
  • 同一の貨物にカートリッジとリキッドが混在:合算した数量で判断。
  • 霧化装置の数量:原則、霧化機能を有する部位(例:アトマイザー等)の数量で判断。
  • ただし:霧化機能が組み込まれているカートリッジは、霧化装置ではなくカートリッジ数量として判断。
実務でのつまずき回避メモ
  • “少ない方”基準:回数とmLが併記されているときは、換算して少ない方で判定
  • 混在=合算:「別々に買ったからセーフ」ではなく、同一貨物は合算で見られる整理。
  • 仕様不明はリスク:成分表示や仕様が不明で数量判断できないと、手続が必要になるケースがある旨も示されています。

よくある質問(FAQ)

Q1. ニコチンベイプ(ニコチン入り)を日本で使うのは違法?
A. 「使うこと」そのものが直ちに違法という整理ではなく、問題になりやすいのは輸入・販売・譲渡の部分です。 ニコチン入りカートリッジ/リキッドは医薬品扱いで、個人輸入は自己使用が前提、さらに数量や宛先条件があります。

Q2. 個人輸入で“1か月分”って具体的にどれくらい?
A. 目安としてカートリッジ60個、リキッド120mL、吸入回数12,000回分(または紙巻たばこ1,200本分)などが示されています。

Q3. カートリッジとリキッドを一緒に買うとどうなる?
A. 同一貨物内で混在している場合は、合算した数量で判断するとされています。

Q4. 会社宛て・ホテル宛てにしたい。少量ならOK?
A. 自己使用であっても、宛先が会社・団体等(自宅以外)になっている場合は、数量に関わらず輸入確認証の交付を受けるよう示されています。

Q5. ノンニコ(ニコチン0)のVAPEはどう扱われる?
A. ニコチンを含有しないカートリッジ/リキッド、及びそれらを霧化させる目的の装置は、薬機法の規制対象にならないとされています(少なくともこの枠では)。


税関で何が起きる?/輸入確認証とは?/オンライン申請

税関の基本スタンス(概要)

税関側の案内(カスタムスアンサー)でも、医薬品・医療機器等は原則、輸入確認証を提示する必要がある一方で、 個人が自ら使用することが明らかな一定範囲では輸入確認証なしで輸入できる、という整理が示されています。
また厚労省の個人輸入ページでも、個人輸入は原則として証明が必要だが、一定範囲内は特例的に税関の確認で輸入できる、と説明されています。

「止まりやすい」主な原因(ニコチンベイプの場合)

  • 1か月分(120mL/60個/12,000回等)を超えている
  • カートリッジ+リキッド混在で、合算すると超過
  • 宛先が自宅ではない(会社・団体名など)
  • 成分表示や仕様が不明で、数量判断ができない(この場合、輸入確認証が必要になることがある旨がQ&Aに示されています)

輸入確認証とは?(旧「薬監証明」)

輸入確認証は、「販売等を目的としていない」ことなどを確認するための仕組みで、税関手続でも提示が求められるものです。
厚生労働省の説明では、以前の「薬監証明」に代わり、2020年9月1日以降は輸入確認証を取得する運用になっています。

2025年7月1日から:オンライン申請が原則

厚生労働省の「医薬品等輸入確認情報システム」は、輸入確認証の手続きをオンラインで行う仕組みで、 2025年7月1日より対象区分はオンライン申請が原則と案内されています。
Q&A側でも、紙申請を排除はしないものの、原則としてシステム利用を促す趣旨が示されています。


つまずき防止:止まりやすい原因と事前チェック

  1. まず「ニコチン有無」を確定: ニコチン入りかノンニコかで、そもそもの扱いが別物になります。
  2. 数量は「1か月分」だけでなく“数え方”もセットで: 併記(回数+mL)は少ない方、混在は合算、という前提で見積もる。
  3. 宛先は原則「自宅」にする: 会社宛て/団体宛て/ホテル宛て/郵便局留めなどは、数量に関わらず手続が必要になる典型例として示されています。
  4. 仕様が分かる情報を確保: 成分表示・容量・個数・回数の表示が不明だと、数量判断できず手続が必要になることがあります。
  5. “自己使用のみ”を徹底: 転売・譲渡・他人の分をまとめて輸入は認められない整理です(運用上もリスクが高い論点)。
VAPESIGNとしての運用メモ(信頼性強化)
  • 本記事は公的情報に基づき作成し、法令・運用変更があれば随時更新します。
  • 個人輸入は健康リスク・偽造品リスク等も指摘されているため、必要性をよく検討し、心配があれば医師・薬剤師等にも相談しましょう。

まとめ

  • ニコチン入りのベイプ関連(カートリッジ/リキッド)は薬機法上「医薬品」、霧化装置は「医療機器」に該当し得る。
  • 個人輸入で「税関限りの確認」で通関できる目安は、1か月分(例:120mL/60個/12,000回)。
  • 超過や会社宛て等(自宅以外)は輸入確認証が必要になり得る。
  • オンライン申請(2025/7/1~原則)など運用も変わるため、最新の公的情報確認が重要。

  • 厚生労働省:医薬品等輸入手続質疑応答集(Q&A)令和7年6月30日版(電子たばこ:ニコチン入りは医薬品、数量目安、輸入確認証 等)
  • 厚生労働省:医薬品等の個人輸入について(自己使用が前提/譲渡・転売不可 等)
  • 厚生労働省:医薬品等輸入確認情報システム(オンライン申請、2025/7/1~対象区分で原則化の案内)
  • 税関:カスタムスアンサー(医薬品・医療機器の輸入確認と、一定範囲の特例的取扱いの整理)
  • 地方厚生局:薬事監視指導課(輸入確認証の相談窓口)

本記事は一般情報です。制度・運用は改定される可能性があります。個別案件の可否は、税関・地方厚生局(薬事監視指導課)等の一次情報をご確認ください。